山形県酒田市・鶴岡市を中心とした庄内地域のホットな情報が満載の地域密着型情報誌「庄内小僧8月号」に掲載された、庄内職業図鑑#10の取材記事です。
もくじ
この記事がお役に立てば幸いです。
庄内を全国に、人をつなぐ米屋
「若さの特権でかわいがってもらった」と、創業当時を振り返る阿部龍也社長が米専門店として大事にしているのは、人と人の関わり。
米を買ってくれるお客さんはもちろんのこと、仕入れ先の農家や県内外の同業者、発送や導入機械などの取引先、従業員と、関わる全ての人との繋がりを大切にする。
とりわけ阿部ベイコクの米を、長年取り扱ってきた関東や中部地方の米屋の先輩からの、阿部社長への信頼は厚い。
「電話1本のやりとりにもかかわらず、私を信頼してくれるのがわかります。お互いに顔を合わせたことがないまま、7年経って初めてお会いした中部の米屋さんをはじめ、人に恵まれていると感じます」と、笑顔で話す。
26年を経た今も新参者を自認する同社。会社の始まりは、平成5年の冷害で起きた米パニックがきっかけだった。
関西のお弁当屋さんからの要請になんとか工面した庄内の米。喜ばれた経験と円が重なり創業した。
好調のインターネット楽天市場で大きく表彰
インターネット販売もいち早く始め、今年17年目を迎えた楽天市場では、2018-2019-2020と3年連続「東北エリア賞」を受賞し、2021年には米・雑穀部門で「楽天ショップ・オブ・ザ・イヤー2021」に輝いた。
また、auPAYマーケットでは2020年「新人賞」、2021年「カテゴリ賞」。Yahooショッピングでは「月間ベストストア」を受賞している。
2021年には自社オンラインショップ「阿部ベイコク本店」をリリース。販売アプリ「メルカリSHOPS」「カウシェ」に出品と、盛況ぶりがうかがえる。
「失敗のまま」にしない、成長を続ける米専門店
順風満帆にも見える阿部ベイコクだが「何もかも、順調だったわけではない」と社長は振り返る。
物流が停滞し、混乱した日々が続いた東日本大震災。同社の販売サイトには、アクセスや注文が殺到。
宅急便が動かないため、やむなく注文を断ったお客さんが多くいたという。
実は、新潟に物資を運びだせば注文を断らずに済んだことを後から知ったそうだ。
阿部社長は「申し訳ないことをした。もう一度全てを見直してやり直そう。失敗を失敗のまま終わらせてはいけない、と奮起しました。」と強く語る。
現場リーダーとして行動力を発揮
▼本社精米工場責任者(鶴岡市出身48歳)入社21年目
配達では家の奥まで米を運ばせてもらえるほどの信頼を得る大井和彦さん。
「農家さんから預かった大切なお米を、お客さんに届けて喜んでもらえる」と満面の笑み。
コミュニケーションが大事
▼遊佐営業所精米担当(酒田市出身38歳)入社2年目
オンラインショップの注文を主に担当する齋藤雅英さん。
「商品になるものに携われるのがやりがいです」と嬉しそう。
有限会社阿部ベイコク プロフィール
1996年5月創業。地元農家と直接取引をし、精米技術の高さはピカイチ。山形のブランド米はもちろん、オリジナルの商品も販売。鶴岡から全国に新鮮な米を届けている。
阿部社長は「主食であるお米の文化を守りつつ、安心安全な商品を安定的に供給できる米屋でありたい」と目を輝かせた。
創業時は3~4人だった社員やスタッフも、今は十数人を数える。
1人では成り立たない商売だと言う阿部社長の言葉通り、米の集荷や買付、精米加工、パッケージのそれぞれを担うスタッフも、皆各自の役割を生き生きと果しながら、チームワークを発揮する。